2012年8月11日土曜日

赤い迷彩服:'AKAU CLAW

LOOCHOO at AKARAに出品している、LEQUIOSIANの作品です。



 世界で唯一の海遊民である琉球民族(LEQUIOSIAN)は、武器を持たない交渉の民として知られているが、人知れず“赤装束”をまとい、武力を行使する隠れた戦闘民族であった事はあまり知られていない。俗に『赤い迷彩服』といわれる戦闘服を着て、笠、覆面、手袋、足袋で全身を赤く覆った『アカウ・クラウ』という赤い忍びが実存したと考えられている。空が赤くなり、辺り一面夕焼けで真っ赤に染まる『マ・アカラ』といわれるわずかな時間(約1分間)『赤い迷彩服』は、人間の目で可視認識出来なくなり、完全に姿が見えなくなる。台風の前後の夕焼けは更に『マ・アカラ』の時間が長く、最長約15分間は何人たりとも、赤い忍びを見つけ出す事が出来ない。赤い闇に乗じて姿の見えない隠密が、様々な忍務を遂行していたと考えられている。

『赤い迷彩服』の忍び達はなぜ、赤装束で『マ・アカラ』の時間だけ活動したのだろうか。それは彼等の自然観、宗教観によるとされる。夕紅の赤が諸行を赤色に染め、血の赤色が色を失う、赤は赤の中にあっては赤でない…彼等はそう考えたのではないだろうか。戦い、すなわち血を好まない琉球民族は、自らを守るために夕紅の赤に隠れ、神の目を欺き血を流したのかも知れない、だが、確かな事は未だ解っていない。

黄昏時の事を沖縄の言葉で“アコークロー”といい、物の怪の世界とこの世の入れ替わる境界線とされる。その“アコークロー”とは、夕紅に暗躍した琉球民族の赤い忍び『アカウ・クラウ』を語源としていると考えられている。(※実際のマ・アカラの時間とはズレがある)さらにその意味については、他言語民族特有の言葉から読み解く事が出来る。環太平洋の文化と深い結びつきがある琉球民族だが『アカウ・クラウ』も、ハワイ言語の『'AKAU CLAW:右手の爪』と共通性がある。琉球民族古武術の“ディー”の最も古い伝記によると、“ディー”ではけして拳は握らず手刀攻撃で瞬殺せしめる事が出来たと伝えられており、非常に鋭いカミソリの様な爪を生やしていた事が最近の研究で明らかになった。『アカウ・クラウ』の武器が発見されなかったのは、身体自体が全体が武器だったからなのだ。

まるで野生の獅子の様に重く鋭い爪が、音も立てずに忍び寄る。赤い闇に盲目な我々にはけして見る事が出来ない、幻の赤い爪『アカウ・クラウ』。


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